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京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く 4/10 (全文聞き起こし)

2011.05.08     ******Update******
1.このポストのショートURLを追記しました。 http://wp.me/p1ud3J-59 となります。
2. さらに福島の問題の全容を掴みたい方は、下記ポストを合わせてご一読いただくことをお勧めします。
●「4.26 国会議事録:吉井議員(共産)、事故の原因は津波による内部電源の喪失だけではなく、地震で外部電源・・・」
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2011.05.02     ******Update******
記述の同位元素名を修正しました。 (訂正前)クロム38 →  (訂正後)クロル38
この訂正について : コメント欄の「通りすがり」さんからご指摘いただき訂正しました。ありがとうございます!
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===== 多少の違いはご容赦願います =====
・ジャーナリスト :  インディペンデント・メディア 岩上安身氏
・取材相手    :  京大原子炉実験所 助教 小出裕章氏
・フォーカス    :  (1)福島第一原発事故いま何が起きているのか、(2)原子力政策のレトリック=安全神話、経済性、生産性
・動画タイトル :  『京都大学原子炉実験所 小出裕章氏に聞く』
・動画アップロード場所: USTREAM  http://www.ustream.tv/recorded/13897618
・録画時間    : 約1時間22分
・アップロード日   : 2011.04.10
・聞き起こし   : by tourkaba3
・記録方法     : 対話形式、ナンバリング入り [001] から [201] まで
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‐ ‐ ‐ ここからインタビュー開始 ‐ ‐ ‐

〇[001]岩上氏: ・・・(音声が途中から始まる)・・・・あるというようにも、お聞きしています。まずこれが1点。
2点目としては、それよりもっともっと深刻です。ある意味最悪なシナリオともいうべき再臨界の可能性、この点について詳しくお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

〇[002]小出先生: お話していいのですか。はい。原子炉というのは、ウランの核分裂を起こさせて、それから出てくるエネルギーを電気にするいう、そういう機体システムなのですね。でも、ウランの核分裂反応を抑えたところで、原子炉の中に既に溜まってしまっていた「核分裂性静物」という物質が、自分でエネルギーを出し続けますので、その熱を冷やせなければ、原子力発電所は壊れてしまうという、もともとそういう装置なわけです。

熱を奪い去るためには、冷却ということが必要なわけですが、水を流して、水に熱を移して、それで冷やすということをやるのですが、水を入れるためにはポンプを動かなければいけない、ポンプを動かすには電気がなければいけないということになるわけですが、今回の事故(◆福島第一原子力発電所事故 English / Japanese) の場合には、電源が全て絶たれてしまったということで、原子炉を冷やすことができなくなって、壊れるという、そういう事態になっているのですね。

かなり深刻な壊れ方を既にしていまして。

ウランそのものがある場所というのは、私たちは「炉心」という言葉で呼びますが、その「炉心」という部分は、「原子炉圧力容器」と私たちが呼ぶ鋼鉄の容器の中に、いちよう収められて、そこに閉じ込めてあるいうことになっているのですが、今回の事故が始まってから「原子炉圧力容器」(◆英:Reactor Pressure Vessel=RPV)がことごとく壊れてしまっています。それは東京電力の発表によると「下部に穴が開いているイメージだ」というようなことを東京電力が言ったそうですけれども。

〇[003]岩上氏: 28日の未明でしたね。

〇[004]小出先生: はい、はい。ようするに、既に穴が開いてしまっていると、それはどこなのか、私にはよくわかりません。福島の原子炉というのは、「沸騰水型」(◆沸騰水型原子炉、英: Boiling Water Reactor=BWR) という原子炉で、「圧力容器」自身は、厚さが16センチもあるという、まあ、とてつもない、頑丈なはずの・・・

〇[005]岩上氏: 鋼鉄の16センチ?

〇[006]小出先生: 鋼鉄のそうです。容器なのですけれども、ただ、「沸騰水型」の場合には、その圧力釜の一番底から、「制御棒」(◆英:Control rod)を入れたり、中性子を計測するためのパイプを入れたりしていますので、そういうパイプの部分は、もちろん弱いのです。そういう部分に穴が開いて漏れているという可能性もありますし、私はたぶん、そう、こうだろうと思っているのは、「再循環系の配管」というのがあるのですが、そこが折れているのではないかと、私は思っています。

〇[007]岩上氏: 配管そのものが折れていると?

〇[008]小出先生: はい、はい。折れているか、亀裂が入っているか、わかりませんが、壊れているのだろうと、私は今は推定しています。ただいずれにしても、その「原子炉圧力容器」と言っている炉心を格納しているその容器その物のどこかが、もう既に壊れてしまっている、そういう状態になっているわけです。壊れてしまえば、そこから水が漏れてしまうわけで、漏れた行き先は、「原子炉圧力容器」を閉じ込めている「原子炉格納容器」(◆BWRの原子炉格納容器)という、また更に大きな容器があるのですが、その中に次から次へと水が流れ落ちて行くという、そういうことになっているのだろうと、私はいま推定しています。

電源が無くなってからは、とにかく水を入れなければいけないということで、東京電力も大分苦闘したと思います。最終的には、海水、利用できる真水が無かったので、海水を消防用のポンプ車で原子炉の中に送るという決断をしたのですね。それを一度やってしまいますと、もう二度と原子炉は使えなくなります。
でも、もうなにが何でも冷やさなければいけないということで、やったわけなのですね。でも、やっても圧力容器にもう既に損傷があるわけですし、水を入れて冷やせば、蒸気になって来ますから、その蒸気をどこかに逃がさなければいけないということもあって、結局は格納容器の方に蒸気を噴き出させて、そこで受け止めようとしたのですね。

しかし、格納容器のほうも、次から次へと蒸気が入ってきてしまいまして、設計耐圧が4気圧しかないのに、8気圧にもなってしまうというようなことで、結局その放射能まみれの蒸気を外に捨てなければいけないという事態に追い込まれたわけですね。一部は、炉心の温度が上がっていましたので、「被覆管」(◆燃料被覆管、英語:fuel cladding)の「ジルコニウム」という金属が、「水」と反応して「水素」になったのですが、その水素がやはり、格格納容器から漏れてきて、水素爆発を起こして、原子炉建屋を吹き飛ばすというような事になったわけですね。

ですから、まあ、大変な事態が、どんどんドンドン悪い方向に向かって進行してきたという事になっているわけです。

でも、原子炉を冷やすということは、絶対に遣らなければいけないことなので、東京電力としては、とにかく外部から水を入れるという作業を今日までずっと続けているのですね。でも、それを遣ると外部から入れた分だけの水は溢れて来るというのは、もう仕方が無いわけで、それが「タービン建屋の地下」という所に溜まっているわけですし、更には「トレンチ」と言っているコンクリート製の水路の中にも溢れて来ている、或いは「ピット」という所にも溢れてきているということで、海にまたその一部が流れて行って、汚染を広げているという状況なのです。

ですから、これまで遣ってきた外からとにかく水を入れるという作業は、もちろん遣らなければいけなかったのですけれども、それを遣り続けるという事が、ものすごく困難を伴っているわけです。

ではどうすればいいかと言えば、外から入れて出すという事ではなくて、循環できるような回路を作らなければいけないのですね。私は何よりも、それを回復してほしいと思い続けてきたわけで、電源が既に回復されているのですから、ポンプを正常に動くような状態にして、原子炉の中を冷やす回路を一つ作る。そして、熱が出て来て、原子炉を冷やすために、水を回すのですけれども、その水が熱くなって出て来るのですから、その水を冷やすための「熱交換器」というのを用意して、そこで、その熱交換器で海水を流して、熱は海へ流すという、その2重のループを作り上げることが絶対に必要だと思っていたわけです。ところが、さっき聞いていただいたように、原子炉圧力容器という炉心を入れている容器自身が既に穴が開いてしまって漏れてしまっているということですので、実はもう出来ないのです。

水を回すということが既に出来なくなっている、そういう状況になっているのです。

これは、もうどうしたらいいか、私は悩みました。で、今私が思っている方法、もちろんいい方法ではないし、それで乗り切れるかどうかも解りませんけれども、もう、これしかないだろうと思っている方法は、一つあります。それは、「原子炉圧力容器」と、「原子炉格納容器」を一体の物として考える。原子炉圧力容器の中に水を入れると、その水は、結局、格納容器に溢れて来るわけですけれども、格納容器の底には、「サプレッションチェンバー」という圧力抑制室というプールがあるのですが、そこに水が流れ込んで来るはずです。その水をポンプで吸い上げて、また原子炉圧力容器の中に戻すと、そういうループですね。

大変異常なループですけれど、そのループを作って、その途中に熱交換器を入れて、熱を海へ回せるようにするという、それを何とか作り上げるという作業が今求められているのだと思います。ただそのループを作るためには、ものすごい被曝環境で、ポンプを新しく付けるか、或いは今あるポンプを何とか動かすか、配管を既存の物が使えるのか、或いは新たに配管を取り付けなければいけないか、ということも含めて、大変な被曝環境で、作業をしなければ行けないと思いますので、辛い選択ですけれども、それしかないだろうと、思います。それを遣るためには、まだ、何日何週間、或いは月という単位で必要かもしれませんけれども、遣ってほしいと思います。

〇[009]岩上氏:  これに、月という単位が必要というのは、その月という、その単位の間にですね、どのような変化が起こり、そういう変化が起こったならば、そういう作業が出来る環境が整うというお話なのでしょうか? それとも、今から着手したらですね、そしてパーツ構築やループの構築とういう作業が何ヶ月か掛かって終了するという意味でおっしゃってらっしゃるのですか?

〇[010]小出先生: そうです。私はその東京電力の福島原子力発電所は、どんな設計というか、配管がどのように巡らされているのか詳細データを持っていないのです。で、全く壊れていない、例えば圧力容器が壊れていないというようなことであれば、もともと東京電力は何の苦労も無く、電源を復旧して、ポンプさえ代えるとかということで、できると思うのですけれども、今の状態は、とてつもない異常な状態になってしまっているわけで、圧力容器と格納容器を一体の物として考えてループを作れと、私は言っているわけですけれども、そういうループを作るということが、本当に出来るのかどうかという事も含めて、とっても難しいのだと思います。

ですから、それを知り尽くしている人は、東京電力福島の人達のわけですから、彼らが知恵を絞って、出来る限り被曝をしないですむように、どういうループが作れるかということの知恵出してあってほしいと、思っているのです。でも、如何せん被曝環境が酷過ぎるので、作業をするのにも困難が伴うでしょうし、大変だろうなと、思っているのです。

〇[011]岩上氏: あの、線量計がですね、数が足りない。今数人に一台で、チームで動いている。昨日、実際に3.11の震災があった時にですね、福島第一原発で作業をしていた元作業員の方からお話を伺いました。その方々には、その時には、一人に一台の線量計はあった。ところが、停電して、何も見えないところで、必死になって、みんな這い出るようにして出て、服を脱いで逃げた。恐らくその後、津波が全部襲っていってしまった。そして作業員の人数分は十二分に行渡るはずの線量計が失われた可能性があります。そんな状態で、被曝しないで、つまり、線量計自体の調達もままならない状態で、今の防護服以上の、被曝を遮る、従業員の安全を守れる、環境の構築といいますか、作業環境というものを整えるということは可能なのでしょうか?

〇[012]小出先生: ええ、大変だろうと思いますけれども。でも、所謂、線量計だけのことで言うならば、東京電力は、柏崎刈谷原子力発電所という、福島第一よりもさらに巨大な原子力発電所持っているわけですし、そういう所に、多数の線量計があるはずです。もって来ればいいだけの事ですので、一日で出来ると思いますし。福島第二発電所でも、今そんなに被曝作業が求められているわけでありませんから、福島第二、せいぜい何十キロかの所にあるわけで、そういう所から持って来れば済むだろうと思います。

〇[013]岩上氏: では、ちょっと東電の怠慢がある可能性もあると?

〇[014]小出先生: 私はそうだと思います。何でその調達をしないまま労働者を働かせたのかなということを、私は東電の怠慢だと思います。

〇[015]岩上氏: なるほど。これは、東電に質問するようにします。

〇[016]小出先生: はい。

〇[017]岩上氏: 被曝をしないで作業をすることは現実的に可能でしょうか?

〇[018]小出先生: できないです。もう、これだけ酷い汚染になってしまえば、如何なることでも、被曝をしないということはもうできません。例えば、鉛のスーツを着るとかですね、そういうことをすれば、何がしかの物を防ぐことはできますけれども、もうそんな物は些末というかですね、ほんとに知れた効果しかありません。

〇[019]岩上氏: 鉛のスーツというのは、調達が可能なのですか?

〇[020]小出先生: はい、可能だと思いますが・・・。

〇[021]岩上氏: でもさしたる効果がないかもと?

〇[022]小出先生: はい、さしたる効果もありませんし、鉛のスーツを着て動きが取れないまま作業をするよりは、身軽に動いて、そして被曝の時間を短縮するという方が寧ろいいかもしれないです。ただ吸い込んだり、或いは体に付着させたりという事は、絶対に、遣ってはいけませんので、マスクをするなり、以前に短靴のまま水の中に踏み込んでしまって、被曝をしたという方が居ましたけれども、そんなことは、絶対にしてはいけません。ですから、専用の衣服を着て、水の中に入るときには、長靴を履いたりするということは、必要ですけれども、それは其れなりに出来るだろうと思います。

〇[023]岩上氏: これはタービン建屋、或いはですね、原子炉の建屋の内部で、そのループを再構築するのですか?

〇[024]小出先生: そうです。

〇[025]岩上氏: 建屋内部で遣らなければいけない。そうすると、今現在の放射線量はとてつもない数値になっていると。

〇[026]小出先生: そうです。

〇[027]岩上氏: 近づいたら即死するのではないかというふうに今まさに。

〇[028]小出先生: ええ、格納容器の中になんて、もう到底入れませんし、格納容器の中は、もうずっと、これから年という単位で入れないです。ですから、もう其処は何も手を付けない。中ではもう壊れているわけですけれども、とにかく、格納容器の中に圧力容器があって、そこは水が漏れている。で、格納容器の中に溜まっているのですから、そこはもう今の状態のまま受け入れるしかありません。そういう状態で、ループを、水が回せるループを外側で作るということになります。

〇[029]岩上氏: 格納容器自体にも穴が開いていて、漏れているという、話がありますね。

〇[030]小出先生: 漏れています。

〇[031]岩上氏: これはどうしたらいいのですか?

〇[032]小出先生: どうしたらいいか?

〇[033]岩上氏: そうです。

〇[034]小出先生: どうしようもないです。

〇[035]岩上氏: つまり一体にしてもですね、圧力容器にも格納容器にも穴が開いているでは、今言った密閉された、閉鎖系の冷却のループというものが完成しない。また、ダダ漏れになってしまうのでは?

〇[036]小出先生: そうです。ただ・・・、しょうがないのです。一号機の格納容器は、まだそれほど大きな破損を受けていないと思います。2号機が一番酷くて、サプレッションチェンバーというところで、爆発が起きましたので、かなり壊れていると思います。でも、その壊れた部分を修理には、行けないと思います。ですから、もう、ある程度の漏れはもう諦めると。それで、とにかく、原子炉さえ冷やせるならば、最悪の事態だけは、逃れられるという事なわけですから、それをやるしかないと思います。

〇[037]岩上氏: つまり外界に漏れ続けることをゼロにはできないと?

〇[038]小出先生: 勿論できません、今の状態では。

〇[039]岩上氏: そうすると、数ヶ月か何年か、原子炉を冷やし続けて、外界に漏れ続ける。減らすことは出来るかもしれないけれども、かなりの量は出てしまう。

〇[040]小出先生: そうです。

〇[041]岩上氏: また、それをダダ漏れにしないで、例えば濾過してから、放出するとか、色んな気の使い方があるのかもしれない。

〇[042]小出先生: それは必ず遣らなければ行けません、ですから・・・

〇[043]岩上氏: この間はいきなり出してしまったのですね。

〇[044]小出先生: はい、いきなり出しました。それは、低い、低レベルの汚染水を海へ流すと言ったわけですが、法律が出していいと云っている濃度に比べれば、何百倍も高いというような物で、決して低レベルではないのです。ですから、私なんかから見れば、もうとてつもない汚染水ですけれども、でも、それを出ざるを得ない、何故かというと、もっとはるかに汚染した水が大量にあって、それを何処かに受けるタンクが必要だったのです。その受けるタンクが、そこにしか無かったものですから、比較的汚染の少ない、それでも、もの凄い汚染水を海へ捨てて、その後ようやくにして開けた所に、もう滅めちゃくちゃ汚染した水を今受け入れようとしているわけです。でも、それもいずれ限度に達するので、そんなめちゃくちゃに高い濃度の汚染水を海に流すなんて事は、もちろん出来ませんので、何か、始末の方法を考えなければ、ならなくなると思います。

〇[045]岩上氏: いずれその環境中に、そうは言いながらも、その炉心を冷やしていく間にですね、大量の放射性物質を含んだ水を外界に出していかざるを得なくなる、その可能性は高い?

〇[046]小出先生: そんなことをしちゃ行けないわけですから、しないで済むような算段を考えて取らなければいけないと思います。私は、ある時に、巨大タンカーを連れてきて、その巨大タンカーに入れて、柏崎刈谷原子力発電所に運ぶのがいいと、私は提案したのです。柏崎刈谷原子力発電所には、それなりの処理装置がありますので、あまりにも酷い汚染水なので、柏崎刈谷でも、処理しきれないとは思いますけれども、でも少なくともそっちへまず移して、今福島に溜まっている水の量を減らすという事はやるべきだろうと思います。今、メガフロートを連れて来て、そこに一万トン位は移せるという案もあるらしいです。とにかく何でもかんでも外には漏らさないような算段をしなければいけないと思います。

〇[047]岩上氏:  これは、それでも何ヶ月か何年か経って、所謂原子炉の外部には出ざるを得ない。圧力容器にも格納容器も穴が開いている。この放射性物質の線量といいますか、放射性物質というのは、この原子炉内部に、大変な量、稼動していた時期、その時間によって溜まっているわけですね。

それがどれ位の量で、どれ位環境に危険な物か、人体に危険な物か、それが皆分からないのですね。

以前、先生は、一年間に百万キロワットの原発を稼動させたら、1基でですね、広島型原爆の一千発分の放射性物質が其処には溜まってしまっているのだと。では、そこを掛け流しのようにして、洗い流していったら、それはもう途方もない物が出るのだろうと、想像は付くのですが、先生ご自身は、これは、ずっと流れ続ける、色んなかたちで受け止めたり、あまりにも酷いかたちで拡散しないように塞き止めはするにしても、最終的には、外界、その原子力外に、どの程度の放射性物質が流失するとお考えですか?

〇[048]小出先生:  ウランを燃やすと、核分裂性静物という、放射性核種ができるのですが、その放射性核種には何百種類もの様々な元素が含まれているのですね。今、大量に外に出ているのは、「ヨウ素」という一分の放射性核種と、それから「セシウム」という一分の放射性核種なのですが、それらがなぜ今出ているのかというと、揮発性なのです。そういう揮発性の高い放射性核種が、次々と外に飛び出してきているという状態で、多分、原子炉の中に溜まっていた、そういうヨウ素とかセシウムという放射性核種の場合には、もう、数パーセント位は出て来ていると思います。でも、元々は100パーセントあるうちの数パーセントですから、まだいいわけですね。

でも、私が本当に恐れている最悪のシナリオというのは、水蒸気爆発という爆発が起きて、圧力容器も格納容器も破損するというのが、最悪シナリオなのですが、もし、そういう最悪シナリオになってしまいますと、ヨウ素とかセシウムというそういう放射性核種は、何十パーセントという単位で出てくると思います。ですから、今の状況と桁違いの放射能が出てくるということになる。それを何とか防がなければ行けないと私は思っているわけです。ただし今ヨウ素とかセシウムの話を聞いていただいて、それは揮発性だと言いましたけれども、揮発し難い一分の放射性核種もたくさんあるのですね。例えば「ストロンチウム」というのも、中々揮発はしにくい、でももの凄く有害です、その放射能は。それから、「プルトニウム」という、放射性核種も、もの凄く有害ですけれども、揮発はしにくいという物なのです。もう、福島の敷地の中で、プルトニウムが既に見つかっているということになっていますので、揮発し難い物も一部は、もう既に出てきているということなのですね。ただ、今現在で言えば、本当に微量。東京電力も言っているように微量です。もし私が恐れているような水蒸気爆発というような事が起きてしまうと、プルトニウムであるとか、ストロンチウムであると、そういうものも数パーセント、或いは悪い場合には、十パーセントというような物がでてきてしまうだろうということを危惧しているのです。

〇[049]岩上氏:  これは、水蒸気爆発が起こらないように。最悪の最悪のシナリオですね。それを押さえ込むために、冷却をする。水を掛ける。水を掛けるけれども穴がある。どうしても外界に出てくる。それをプールなどで、或いはタンカー、それからメガフロートで受け止めていく、受け止めていてもそれだけダダ漏れをしていれば、その過程で外界に色々なかたちで出て行く。低濃度の水は海に流してしまった。こんなこともずっと続いて、しかも建屋も開きっぱなしの状態ですから、外界にもどんどん出てくると思います。大気中にも。こういうことがですね、ダラダラ数ヶ月か数年続いた時に、水蒸気爆発とは別に、放射性物質というのは、どの程度出ると思われますか?それは、先生がおっしゃるように、広島型原爆(◆Refer 広島型原爆=LittleBoy) の一千発が一年間とか、もっと長いこと稼動していた炉ですよね。しかもそれが4つもあるわけです。一号機から4号機までと、考えたら、どの位の量が出るのでしょう?

〇[050]小出先生: 原子炉の中に溜まっているうちの揮発性の物で言えば、何十パーセントか出ると、私は出ると思っていますし、不揮発性の物は、今の状態を続けられるのなら、そんなにたくさん出さないでおさめられるだろうと思うわけです。ですから、水蒸気爆発をさせないようにして、不揮発性のものは少なくても出さないようにすると。それで、揮発性の物も極端に大量に出さないようにするという、作業を続けるしかないと思ってます。

〇[051]岩上氏: 数十パーセントとというは、チェルノブイリの時に起こった値ですね?

〇[052]小出先生: そうです。チェルノブイリの時、セシウムは約30パーセント出ましたし、ヨウ素は50パーセントから60パーセントは出たと思います。ですから、そんなような状態にはさせないで、今の状態は多分まだ数パーセントとだという程度だと思いますので、それをなんとか、今からまだ長時間続くわけですから、なるべくその量を抑えるということが必要だと思うのですね。そのためには、水を入れて外に出すということでは、駄目ですので、何とかその回路を作らなければいけないという提案をしているわけです。

〇[053]岩上氏: この提案を政府にちゃんと届くことが必要だと思うのです。

〇[054]小出先生: ええ、多分、東電の福島の方は私以上に自分たちの原子炉のことを知り尽くしている筈ですから、どうしたらその回路が作れるかとうことを勿論考えていると思います。ですから、それを早急に、彼らに対して、大変気の毒だと思うけれども、被曝環境の中で、その作業を何とか遣り遂げてほしいと思います。

〇[055]岩上氏: 日本の色々な意味で、日本の政治、それから行政のリーダーに、直接こういう事態なのだという事をお話する機会というのを、これあの、実は具体的に要請があったのですけれども、先生に是非とも、この間(議員)院内集会をやった政治家達から、先生にご出席して、お話しを願えないかという、要請があったのですけれども。これは、先生、そういう場でですね、ご説明をするというお気持ちは、おありになりますか?

〇[056]小出先生: ええ、私の意見を聞いて下さるというのが確実であれば行ってもい6ですけれども。私はこれまで、原子力の世界から、全く排除されてきた人間 (◆Refer 京都大学原子炉実験所・異端研究者) ですし、政治などには、何の期待も持っていませんので、政治家の人を相手に、何か話しをしたいという気には、今はなりません。

〇[057]岩上氏: そうですか。ではもし熱心な要請があれば、ちゃんと真剣に聞き届けたいと言うことであれば、そういう・・・

〇[058]小出先生: それはですから、政治家ではなくて、ようするに、ちゃんと、現場を知った人達の間で、どう遣ったら一番いいかという、そういう意見の交換ができるということであれば、喜んで行きます。政治家は駄目だと思いますけどね。私は。

〇[059]岩上氏:  なるほど、了解しました。最悪の手前のシナリオ、一歩手前のシナリオです。穴が開いているという。ところがもっと実は最悪のシナリオがあります。再臨界です。それで、先生は再臨界の可能性について、これまで度々言及はされてきましたが、ここへ来て俄かに緊張が高まっております。というのは、その 「クロル38、塩素38 」  (◆注釈: chlorine-38)  という物質が検出されたと (◆Refer (1)経済産業省ニュースリリース、(2)F. Dalnoki-Veress, with an introduction by Arjun Makhijani ) これは、再臨界の確たる証拠であるというご発言をされている。そして先生にメールでお送りしましたけれども、アメリカの学者が、全く文脈は違うところで、恐らく先生ともコンタクトは取っていないところで、やはり自然科学の学者というのは普遍性を持っていますから、同じエビデンスから、やはり同じ様な分析を引き出すのだなと、思ったのですけれども。ヨウ素の量、それが減らないということ、そしてこのクロル38という物質が検出されたという、この点を持ってですね、再臨界が起こっているとこういうふうに分析しています。この点についてですね、もう再臨界が起こってしまったら、もう破局なのだと、我われもう「ああ、終わりなのだと」イメージを持っておりますが、それが正しいのかどうかということも含め、その再臨界とは何か、そして、本当に起こっているのかどうか、ご見解をお聞きしたいと思います。

〇[060]小出先生: はい。はじめに聞いていただいたけれども、原子力発電というのは、ウランの核分裂を起こさせてエネルギーを取り出すシステムですが、地震に襲われるということになったら、まずは止めなければいけない。核分裂反応を止めなければいけないのですね。その為に、制御棒という棒を挿入しまして、核分裂反応はとにかく止めるということをまず何よりも先にやるのです。今回は、そうもそれは成功したのではないかと、私は期待もしていますし、多分そうであろうと思っているのです。

ただし、既に溜まってしまっていた核分裂性静物というその放射能自身が熱を出す、「崩壊熱」 (◆Refer 崩壊熱) という熱を出すために、ここまで追い込まれてしまったのです。なんとかだから、その崩壊熱の分は、冷やさなければいけないとうことなのです。もし、一度止めたつもりの核分裂反応がもう一度起きてしまうというようなことになると、またそこから熱が出てきてしまうということになって、それをどうやって冷やすかという、また困難が伴ってしまうのです。ですから、何とかそのウランの核分裂反応をだけは二度と起こさないようにしなければいけないと、みんな思ってきたのですけれども、その一度は止めたと思ってきたウランの核分裂がまた起きてしまうということを、私たちは、「再臨界」という言葉で呼んでいるのです。

で、その可能性は、実は私は少ないだろうとずっと思って来まして、とにかくその崩壊熱を冷やすことが出来るなら、この破局を乗り越えられると思ってきたのですが、最近になって、東京電力が公表しているデータを見る限り、再臨界を疑う以外に説明が付かないと思うようになってきています。それは、今岩上さんがおっしゃってくれたけれども、「クロル38」という放射性核種があるのですが、それが東京電力によって検出されたと言われているのです。そのクロムの38=塩素38という放射性核種ですけれども、それは天然にある「塩素」が、「中性子」を受けて生成されるものです。ただ寿命が37分と短いので、運転中には勿論あったとしても、原子炉の核分裂反応が止まって、もう中性子が出なくなるとすれば、クロル38というのは、直ぐに無くなってしまって、今になって検出されるなんてことは無いのです。

ところが、3月の末でまだクロル38が検出されるということを東京電力が公表したのです。もしそうであるとすると、継続的にクロル38が生まれているということになるわけで、そうなると、その中性子はどこから来ているのかということになります。そしてその中性子の出る源は、核分裂反応以外にもう一つあってですね。原子炉の中に「超ウラン元素」と私たちが呼ぶ、一群の放射線核種が溜まってくるのですが、超ウラン元素の中の「キュリウム242」とか「244」とか、特殊な物ができるのですが、そういう物は自分で自発的に核分裂する、私たちが「自発核分裂」と呼ぶような現象があって、中性子を出すのです。ですから今原子炉は止まっていると言いますけれども、中性子はゼロでは無いのです。しかし、東京電力が公表したクロムの量はもの凄い量の濃度になっています。多分自発核分裂だけでは説明はつきませんし、今のデータを見る限りは、再臨界ということが起きたのではないかと、私は益々疑いを深めていると、そういう状態です。

ただ、再臨界ということが起きてしまうと、何かもう破局なのかというふうに皆さん思われているのかもしれませんが、そうではありません。例えば、広島の原爆とうのはどういうふうにできていたかと言うと、一方にウランの塊を先ず置きました。何も起きません。ただウランという金属がここにあると。もう一つの方に、ウランのもう一つの塊を置きます。何も起きません。それを火薬で一箇所にボット集めると、一つの場所に、ある一定量以上のウランが集まるという、そういう状態を作り出すと、はじめて臨界という状態になって、ウランの核分裂が始まるという、そういうのが、私達が知っている物理現象なのです。そういう、物理現象に基づいて原爆というのも作られていのです。今起きている再臨界というのは、原子炉の中にウランがあったのですね。その中に制御棒が差し込まれて、ようやくウランの核分裂反応を私は止めたと思っているのですが、もう一号機で言えば、東京電力の説明でも70パーセントは、損傷しているというふうに東京電力は言っていると。

〇[061]岩上氏: 燃料が損傷していると?

〇[062]小出先生: はい。その燃料の損傷というのは、どういうことかと言うと、炉心の中の燃料というのは、直径1センチで長さが4メートルという燃料棒被覆管という細長いパイプが連立しているのです。その細長いパイプの中に、ウランの燃料ペレットという直径約1センチ、高さが1センチくらいの小さな小指の先くらいの小さな瀬戸物が一杯 (◆注釈:一杯とは一つの被覆管に 約400個のペレットが入っている) その被覆管の中に、詰まっているという状態でできているのです。この被覆管というのが、「ジルコニウム」という金属でできているですが、このジルコニウム金属は、温度が850度位になると、周りの水と反応を始めます。そして水素を発生します。その発生した水素は水素爆発を起こして、建屋を吹き飛ばしたのですが、その反応が「発熱反応」なので、一度反応が始まってしまうと、次々と熱を出して、周りのジルコニウムをまた反応させるという、悪循環に陥るのです。

水から露出した部分で、そういう反応が起きたのですけれども、今はもう燃料棒のある部分は、水から露出しているということは、東京電力も認めていて、そのために被覆管が反応して壊れてしまっているのです。それが7割、70パーセントと言っているのは、その事だと私は思っています。

そうするとこの被覆管がなくなってしまうのです。そうするとどういう事になるかというと、小指の先位の大きさのウランのペレットと言っているものが、もう、支えてくれるものがありませんから、ぐずぐずと崩れて来る、そういう状態になる筈なのです。それで、それが原子炉のある部分に溜まってしまって、一つの大きな塊になってしまうと、一度治まった臨界ということが、其処でまた起きてしまうという、それを私達は恐れてきたのです。

では臨界が起きるとどうなるかと言うと、熱が出るわけですから、熱が出ると必ずその場所は膨張します。膨張すると、ようするに、一箇所に集まっているウランの量というのが、全体的には密度が減るわけですから、臨界という状態が今度は無くなります。でも、それで熱が出なくなると、またそのところにウランが集まって来るということになるでしょうから、また臨界になって熱が出る。そういう事を繰り返して居るのではないかと言う事を、私は今疑っているのです。

〇[063]岩上氏: なるほど。臨界を起こすけれども、熱を帯びると、また一旦臨界でなくなる。それでまた再臨界が始まったり、再々臨界始まったりすると。

〇[064]小出先生: はい。 そういうウランがブスブスぶすぶすと燃えるというような状況が、私の呼ぶ再臨界なのですね。だから、爆発をするというような事とは違うと思います。

〇[065]岩上氏: なるほど。一定程度集まったところで、所謂これはメルトダウンで、そして水蒸気爆発が起こり、再臨界がもの凄い高熱を発して、水蒸気爆発を直ぐに呼び込んで吹っ飛ばす、こういうイメージを持っているのですが。

〇[066]小出先生: ではないのです。ただ私の恐れている水蒸気爆発というのは、どういう現象で起きるかというと、炉心というところで、かなり、今は、燃料ペレットですけれども、被覆管は7割も壊れているのですね。では燃料ペレットがどこまで溶けているかというと、私はまだ少ないのだろうと、思います。発電所の敷地の中でプルトニウムが既に見つかっていますので、燃料ペレットが溶けている事は確実です。

〇[067]岩上氏: これは関わりがあるのですね?

〇[068]小出先生: はい。

〇[069]岩上氏: プルトニウムの検出というのは、猛毒のあらわれだという、その人体の直接的な被害という事を心配して大騒ぎになっていますが、その事よりも、プルトニウムの検出は、実はその被覆管の損傷だけではなく、そこの中にある、ペレットの溶融とか損傷。

〇[070]小出先生: そうです。ペレットが溶けているということの証拠として重要だと。

〇[071]岩上氏: これを東電にもぶつけて、私は質問しました。しつこく此処のところを。これは、まあ曖昧なインフォで。被覆管の70パーセント損傷は認めています。ペレットがかなり溶けてしまっている。その理由として、プルトニウムが見つかっているのだと、その証さであるここの関係性については、まあ、あの色々に言葉を変えながら、なんと言うか、丸め込もう的なですね、回答なのです。でも全く否定はしませんでした。どういう事なのでしょうか?それを教えてください。

〇[072]小出先生: はい。東京電力としては、そのウランに燃料ペレットが溶けるということは、できれば認めたくないのですね。ジルコニウムという金属自身はさっきも聞いて頂いたけれども、850度を過ぎれば、反応してしまって崩れると、そういうものですけれども。ウランの燃料ペレット自身は、2800度位にならないと溶けないのです。ですから、そんな高い温度に既に原子炉の中がなってしまって居るということは、やはり東電としては、認めたくないのです。でも、私は一部の燃料ペレットが溶けていることは確実だと思いますけれども、炉心全体の中のほぼ100トンあるようなウランの燃料ペレット全体が溶けているとは思わない。

〇[073]岩上氏: 100トンあるのですか?

〇[074]小出先生: はい。

〇[075]岩上氏: 一個の原子炉の中に?

〇[076]小出先生: そうです。福島の1号炉は、46万キロワットですから、数十トンしかないと思いますけれども。そういう単位があるのです。それが、全体が解けているとは私は思わないのです。全体を溶かしてしまわないように、水を掛け続けて冷却しなければいけないということが、今遣っている作業なのです。

もし、かなりの部分が解けてしまうというような事になると、それは解けて落ちるという、炉心部から解けて落ちるということ、メルトダウンという現象に、私はなると思うのですが。その解けて落ちた下に、炉心というのは、圧力容器という鋼鉄の容器の真ん中からちょっと下の部分(◆Refer リンクファイルのページ7、Figure 1)にあるのですが、その部分でウランの燃料ペレットのかなりの部分が溶けて、それが下に落っこって行った時に、圧力容器と言っている容器の底に、もし水が残っていたとすると、その水に落下したときに、「水蒸気爆発」が起きるのです。

それは、どうしても私は避けてほしいと思っていて、そういうことになると、そこで水蒸気爆発が起きて、圧力容器が壊れるだろうと思っているのです。壊れてしまうと、圧力容器の直ぐ外側に、今度は格納容器という、比較的ペレペラな容器があるわけで、その格納容器が放射能を閉じ込める最後の防壁ですけれども、それも壊れるだろうと、それをとにかく避けなければいけないと思っているのです。

ですから、そのためには、炉心部にあるウランペレットの大分部というか、かなりのものが溶けるというような状態を避けなければいけないのです。

でも、その崩壊熱だけでも、放って置いたら解けてしまうので、今、水を入れているのです。でも、またそこで再臨界というような状態になると、ウランの核分裂反応が、また熱を出します。ですから、ブスブスと燃えると私が先ほど表現したけれども、ようするにまた熱が出て来る。ですから、その分も冷やしてやらなければ、余計にまたメルトという方向に向かってしまうということになりますので、とっても綱渡りの冷却というのを今遣って来たし、これからも遣らなければいけない。

〇[077]岩上氏: プルトニウムの検出が、ウランペレットの溶融の証拠というのは、どういう意味なのですか?

〇[078]小出先生: ええと、プルトニウムというのは、揮発性でも何でもありませんし、溶けない限りは、殆ど出てくることはないであろうと思っているのです。ペレットというのは瀬戸物なのですね。その瀬戸物の中に、ウランで作った瀬戸物ですけれども、その瀬戸物の中にプルトニウムという物質も溜まってくるのです。そして核分裂静物である、ヨウ素とかセシウムも溜まってくるのdすけれども、揮発性のものであれば、瀬戸物の中から飛び出して来るということはありうるわけですけれども、プルトニウムは揮発性でも何でもありませんので、瀬戸物の中から、先ずは出て来ないと、思うわけです。ですから、その瀬戸物が融けてしまったときに、はじめて外部に、多分蒸気にさらされてるのだと思いますが、そういう蒸気の流れに乗って、外に出て来るというのが私の推測です。

〇[079]岩上氏: なるほど。検出はそういう証拠になるわけですね。

〇[080]小出先生: はい。

〇[081]岩上氏: あの再臨界が起こったら、ぶすぶすブスブスと続くということですが、という事が起こった場合、もう既に起こっているという、それはどんな事をもたらすのか。放射線量のようするに、これまで以上の放射線量が表に出てくることであるとか、或いは次の段階で何か大きな最悪を呼び起こすことを意味するのか、再臨界はどんなことを意味するのか?

〇[082]小出先生: ええ、2つのことがあるわけですね。ですから、再臨界というのは、ウランの核分裂反応が始まるということですから、核分裂反応で生み出されるものは2つです。「熱」と「核分裂性静物という放射能」です。熱の方はメルトダウンという現象に繋がりますので、何とか冷やすという作業を増加するというか、綱渡りをまた・・・

〇[083]岩上氏: これまで以上に?

〇[084]小出先生: そうです。難しい状態に追い込まれるということになるわけです。それが失敗すれば、メルトダウンということになって、最悪の事態に直行するということです。もう一つの核分裂静物は、ようするに、放射能ですので、それが元々核分裂反応を止めたという事が本当であるならば、それぞれの寿命でどんどんドンドン減って行ってくれるということになる、放射性物質はですね。そうなるのですけれども、新たにそれを、またどんどん生み出してしまうということになれば、外界に出てくる放射性物質の量も増やさざるを得ないですし、一昨日、1号機の格納容器の中で、放射線量率が3倍くらい、急激に増えました。私はその急激に増えたことも、その時に再臨界ということで、核分裂性静物が新たに生み出された物が、格納容器の中に噴き出してきたのではないかという事を疑っているのです。格納容器の中に噴き出してくれば、格納容器に損傷がありますので、それはまた外部に出てくることに繋がってしまうのです。

〇[085]岩上氏: 最悪の最悪の破局がメルトダウンだとすると・・・

〇[086]小出先生: メルトダウンと水蒸気爆発ですね。

〇[087]岩上氏: メルトダウンによって水蒸気爆発が起こらないのであれば、まだ破局の一歩手前であると。水蒸気爆発が最悪の最悪の最悪だとすると、恐らくもしこれが起こってしまったら、1号機でも、2号機でも、3号機でも、どこか1機で起こってしまうと、もうその周りで作業とか、修繕とか、冷却とかそういうものは出来なくなりますね。

〇[088]小出先生: そうです。

〇[089]岩上氏: ということは自動的に、1、2、3、4が続けてメルトダウンを起こして行くという現象が。

〇[090]小出先生: 最悪の場合はそうなるわけです。

〇[091]岩上氏: 最悪の場合は、そうすると。チェルノブイリは4号炉だけでした。もし、最悪の最悪の最悪を覚悟するとしたらば、再臨界からメルトダウンそして水蒸気爆発、その連鎖となって、そのときに、起きる破局といいますか、それは最悪の場合、我われ覚悟しなければいけない最悪。その最悪はどんなことになるのですか?

◆—固定電話が鳴る(1)—◆

〇[092]小出先生: 失礼。いいですか? (電話に応答、1分ほど)

〇[093]小出先生: (取材に戻る) ええと。どこまで言いましたかね?

〇[094]岩上氏: 最悪の最悪の最悪とは、メルトダウン、水蒸気爆発、そして連鎖という・・・

〇[095]小出先生: 思い出しました。

〇[096]岩上氏: そうなった時に、予想されると最悪といいますか、災害。この間ちょっと、自分で一つ言葉を考えたのですけど、「最悪を覚悟して最善を尽くす」ということでなければいけないのであろうと。でも、今、政府、東電、それから、マスコミもそうです。最悪の最悪の最悪を考えて、語り論じることをしていないのです。

〇[097]小出先生: そうですね。

〇[098]岩上氏: で、その水蒸気爆発の連鎖が起こった場合の最悪というのはどれ位のそのダメージを起こすのでしょうか?

〇[099]小出先生: チェルノブイリの原子力発電所というのは、1~4号機あったのですが、4号機だけが爆発しました。丁度100万キロワットとという原子炉でした。今、福島の1~4号機まで合わせると、約300万キロワットの出力がありますので、チェルノブイリ原子力発電所の3倍の出力があるということですから、関係してくる放射能も3倍あるわけですね。

原子炉が本当に私が恐れているような破局的な事故になったとすると、恐らくいま岩上さんがおっしゃったように、発電所の中の作業が出来なくなると思いますので、次々とやはり壊れていくだろうと思うわけですね。そうなると、原子炉の炉心の中にある燃料だけでもチェルノブイリ原子力発電所の3倍あるのです。おまけに困ったことに、使用済みの核燃料プールという中に、炉心の中に入っていたのと匹敵する、或いはそれよりも多いほどの、使用済み燃料が貯まっているのです。それもこの間、東京の消防庁が行ったりですね、自衛隊が行ったりして、放水を繰り返してきたのですけれども、その作業も出来なくなりますので、やはりそれも壊れてしまうということになりますので、チェルノブイリの原子力発電所の3倍どころではない、6倍、7倍、8倍、或いは10倍とうよな、放射能が危機に瀕するということになると思います。ですから、最悪の最悪の最悪というようなことを考えるなら、もちろんそれも考えなければいけないし、同じ敷地の中には5号炉、6号炉というのもあって、そこにも大量の放射能が入っているわけですから、大変だろうと思います。

◆—固定電話が鳴る(2)—◆

〇[100]小出先生: 失礼。 (電話に応答、20秒ほど)

〇[101]岩上氏: もう途方もないことになってしまう。これは日本列島に人が住めなくなるようなレベルですか?

〇[102]小出先生: チェルノブイリ原子力発電所事故はどうだったかというと、まず周辺30キロの人達が強制非難をさせられました。それからしばらく経ってから200キロあるいは300キロ離れたところまでが高密度の汚染を受けているということで、そこもまた強制非難させられました。そうこうするうちに、ソ連という国家自身が潰れしまって・・・

◆—固定電話が鳴る(3)—◆

〇[103]小出先生: (電話に応答、5秒ほど)

〇[104]小出先生: 外して置こう。ごめんなさい。
そうこうするうちに、そのソ連という国が潰れてしまって、人々を汚染地帯から救出することができなくなったのですが、でもきちっと調べてみたら、発電所の敷地から、700キロ離れた彼方まで、風下に当たったところでは、日本の法律に照らして、放射線の管理区域にしなければいけないいうほどの汚染を受けていたのです。もし、福島の原発から700キロという距離を考えたら、ほとんど日本中は安全な所がない、この関西にしても、範囲に入ってしまうというくらいの距離なのです。それのまた何倍というような放射能が関係してくるとすれば、もっと被害が広がるわけですので。まあ、大変なことに、なるでしょうね。

〇[105]岩上氏: 再臨界、最悪の最悪の最悪が其処だとして、その2歩くらい手前の再臨界を食い止めていくには手があると。「ホウ素」を注入すればいいというお話でしたがこれをちょっとお話を

〇[106]小出先生: はい。ホウ素というのは中性子をもの凄く吸収する物質でして、ホウ素をもし原子炉の中に、その再臨界している場所に上手く送り込めるのであれば、ホウ素が中性子を吸収してしまいますので、ウランが吸収する分が無くなると。その為に、臨界反応が止まるという、そういうことになります。

〇[107]岩上氏: それはどの程度効果があるのですか?

〇[108]小出先生: ちゃんとその再臨界を起こしている場所にホウ素が届くのであれば、かなり効果的に再臨界を押さえることができます。

〇[109]岩上氏: 現時点でそれは上手く出来ているのでしょうか?

〇[110]小出先生: もし、再臨界が

〇[111]岩上氏: ・・・・・(冒頭ワード聞き取れず)・・・の懸念があるという、届いていないのではないかという。

〇[112]小出先生:  私は、元々は、再臨界は起きていないと思っていたのです。制御棒は入っていたろうし、燃料は崩れたとしても、ホウ素を入れている限りは、再臨界を押さえることができたと思っていたのですけれど。どうもその東京電力は、途中から、ホウ素を原子炉の中に送るという事を遣らなくなったのではないかと、私は今疑っているのです。それは多分色んなことの理由があるのでしょうれど。初めからその海水を入れ出したです。原子炉をとにかく冷やさなければいけないということで。でも海水の中には塩がたくさん入っているのです。入れた海水はドンドンどんどん蒸発して、蒸気は出て行くわけですけれども、塩は多分どんどん煮詰まっていって、多分、彼方此方に塩の塊が石質して来るという、そんな状態になっていると思うのです。それが、例えば、原子炉を冷やす、流路といいますか、水の流れを妨げるということにも繋がっているかもしれませんし、これからもしポンプとか動かそうとしても、ポンプが動かないとか、そういうことの障害にもなるだろうとも思っているのです。同じ様にホウ素という物質も大量に入れてしまうと、あちこちに石質することになりますので、東京電力としては、あまり入れたくなかったのかもしれません。

もし再臨界という現象が起きているのだとすれば、もう何をおいても入れなければいけないと思います。

〇[113]岩上氏: 正しく入れることができているとか、それが届かせることが出来ているかという点はどうなのでしょうか?

〇[114]小出先生: それはよく分からないのです。今、東京電力は原子炉の中に水を送っているのですけれど、原子炉という、まあ、圧力容器の中ですけれども。圧量容器と言っている中にも、結構複雑な構造をしていまして、何処の場所に、その外から水を入れているかということで、今再臨界になっている場所に、本当にその入れた水、或いは、これから入れるとすればホウ素がですね、届くかどうかというのは、今私にはよく分からないです。炉心という部分と「ダウンカバー」という部分があるのですが、もし、ダウンカバーという部分に入れたとしても、ぐるりと回って、そのまま出て行ってしまうという可能性もあると思うので、それは福島の人達がちゃんと考えて、対処してほしいと思います。

〇[115]岩上氏: 話は変わりまして、この間の地震、関西であまり揺れなかったようですが、東京は大変揺れました。宮城での震度6の地震。その地震によってですね、これ余震なのでしょうけれども、余震程度のことで、「六ヶ所村」、「東通原発」、「女川原発」、この女川原発というのは、先生が原発反対運動にかかわる最初の切っ掛けになったという因縁の原発ですけれども、そういったところが、一時外部電源が絶て、冷却が一時間くらい喪失したという、恐ろしい話があり、ただ不幸中の幸いにして、非常用の電源が立ち上がり、ディーゼルが立ち上がり、冷却はしているということなのですけれど、こんな恐ろしいことが起きているということに改めて驚愕しています。

それ以外にも「伊方」とか、或いは「浜岡」、そして此処京都方へ来る途中で「敦賀」にも通ってきたのですけれども、敦賀と京都なんてサンダーバードですと一駅です。ここには「もんじゅ」があります。こうした様々な危険であると言われている、老朽化した原発や、或いは地震の層の直ぐ上に建っている原発。そして「高速増殖炉」、「六ヶ所村の再処理施設」。こういったところには、それぞれ大量の放射性物質が眠り、危険な状態にあるのではないかと思われるのですけれども、時間がないので、ざっとコメントで結構なのですが、どれほどそれぞれ危険で、どういうふうにしなければいけないか、お話を聞かせていただけないでしょうか。福島だけの問題では終わらないと思うのです。

〇[116]小出先生: 勿論です。あまり細かく話す時間がないと思いますので、一番基本的なことを言うなら、原子力発電所は機械なのですね。機械は壊れるのです。運転しているのは人間なのです。人間は間違えるのです。ですから、事故というのは、必ず起こると思わなければいけません。今回の福島の事故の場合には全ての電源が失われたということで、こうなっているわけですが、全てに電源が失われることは、必ず有り得るというふうに、実はみんな思ってきたのです。

〇[117]岩上氏: 関係者は思ってきたのですね。

〇[118]小出先生: そうです。ですからこれまでも原子力発電所が破局的な事故になる可能性は、どういうルートを辿ったらなるのかという事は、度重なる、何度も何度も研究されてきて、その研究の全てが、発電所の全所停電、ブラックアウトが一番危険が大きいということを、分かりきっていたのです。

それでも日本の原子力を進めてきた人達は、発電所の全所停電は、「決して起こらない」、「自分で発電しているのだし、外部電源が、送電線からー電源を貰えばいい。」「それが駄目でも非常用ディーゼル発電機がある。」「それが駄目でもバッテリーがある。」何とでも成るのだと。だから全部の電源が止まるなんてことは、想定することが馬鹿げていると「想定不適当事故」という、そういうらく印を押して、無視するということを遣ったわけです。

でもちゃんとやっぱり起きるのです。

で、今、この事故を見て、電力会社の方では色々言っているのですね、「非常用発電機を丘の上に建てておけばいいではないかとか」とか、対策を色々言っているのですけれども、それは、単なる「対処療法」に過ぎないのです。人間だって、色んな病気になりますけれども、一つの病気を防いだら、別の病気にならないなどという保障には、勿論ならないわけで。

機械という物が事故を起こすときには、既に起こした事故に対しては、対策は取れるけれど、次の事故は全く違ったかたちで現われてくるというのが、機械なのです。

ですから、原子力発電所の事故が、絶対に起きないなどということは、思ってはいけません。福島であろうと、女川であろうと、東通りであろうと、或いは若狭湾の原発群であろうと、いつか事故が起きるであろうということは、必ず覚悟しておかなければいけないことだと思います。特に今岩上さんがおっしゃってくださったけれども、「もんじゅ」という原子炉があるのですけれど、それは・・・・

〇[119]岩上氏: 「もんじゅ」というのはどういうものであって、どんなふうな危険性を孕んでいるのか。長々お話すると大変なことになってしまうと思いますが、一般の人にわかり易く「もんじゅ」と「六ヶ所村」については、唯の原発ではない、施設ではないと思いますので、そこだけちょっと触れていただけますか。

〇[120]小出先生: はい。これを話し出すと、多分1時間、2時間、3時間と話さなければいけないので、端的にいうとですね。「もんじゅ」というのは高速増殖炉という原子炉でして、プルトニウムを効率的に作り出すための、特殊な原子炉です。そのことを遣ろうとすると、原子炉を冷やすために水が使えないのです。

「水」というのは、とにかく何かを冷やすというために、圧倒的に優秀な物質なのです。比熱が「1」といことで、ほかの物質にはあり得ない程の効率的に冷やす性質を持っていますし、透明です。放射線に当たっても、新たな放射能を生むということが、殆ど無いという、本当にすばらしい物質なのですけれども。

「高速増殖炉」である「もんじゅ」は、その水を冷却材に使えないのです。

水の変わりに「ナトリウム」という物質を使うのですが、そのナトリウムという物質は、水と触れると爆発をする。空気中に漏れると火事になる、そういう途轍もない化学活性が強いというか、危険な物質なのです。それで原子炉を冷やしながら、プルトニウムを作ろうという、原子炉なのですが。

もし今回のような事故になって、どこか配管が破けたとなれば、1995年に起きたように(◆Refer [Wikileaks]もんじゅ原発事故ビデオリーク)、あっと言う間に火事になる。鋼鉄でも何でも溶かすということが起きたのですが、勿論そうなるわけだし、では、そうなった時に、いまのように、例えば、消防庁が行って、水を掛けることができるかというと、水を掛けたら今度爆発してしまうのです。ですから、何にもできなくなるという、途轍もない危険を抱えた原子炉です。

それから「六ヶ所村」と岩上さんおっしゃったけれども、そこは原子力発電所ではありません。原子力発電所生み出された、使用済みの燃料という物を再処理するとう工場です。その工場の危険性を言おうと思うと、また、2時間、3時間掛かってしまいますので、今は言いません。ただ、そこの工場には今現在、3000トンの使用済み燃料が含まれています。それはどれだけの量かというと、一つの原子力発電賞が生み出す使用済み燃料は約30トンです。

〇[121]岩上氏: 一年間に?

〇[122]小出先生: 一年間に。つまり一つの原子力発電所の100年分というほどの大量の使用済み燃料をいま六ヶ所村の再処理工場にためてしまっている。

〇[123]岩上氏: 放射性物質が100年分あるのですね。

〇[124]小出先生: そうです。一つの原子炉に比べれば、もう大変な量の放射能を抱えたままいるわけです。福島第一の4号機で、使用済み燃料プールで水素爆発が起こりましたけれども、要するに冷却できなければ、同じことが起きてしまうのです。ですから、六ヶ所再処理工場でも冷機するために、もちろん水をぐるぐる回しているわけですけれども、ポンプで回しているのですが、もしポンプが動かなければ、冷却が出来なくなるし、福島第一四号機で起きたように、燃料棒がもし露出してしまえば、其処で火事になると、或いは水素爆発が起きるということになります。

〇[125]岩上氏: あのこれ程までに恐ろしい物をですね、この地震、そして津波に狙われやすい島国の海岸部にですね、54基も建ててきたという、日本の原発政策。

それでも必要なのだと言う、原発推進側に言い分はですね、「日本の産業構造上、或いは我われの消費生活の水準上、原発がなければ電力供給を賄えないのだ。」そして、「火力、風力、代替エネルギーをいくら合わせても、原発を止めたときには、それは補えきれない。」とこういう言い方をしています。

ところが、先生は違うとおっしゃる。
しかも、電力は実は、非常に安くて安定的ですばらしいエネルギーだと原発はと。
ところが、原発はもの凄くコストが高くてろくでもないと。
これは非常に目から鱗で、一切のメディア伝えていないと思います。
この点最後にちょっと教えていただきたいのです。

〇[126]小出先生: 今、日本の政府や電力会社というのは、日本の国の中の電気の3割は、原子力発電からきていると、だからもう止められないのだというのですね。本当かどうかというのを今お見せします。ここに一つの白紙が白い紙があって、水力、火力、原子力、その他と書いてあります。これは、電力会社がどれだけの発電所を持っているかということを、今からここに示します。それから、最近は電力会社の電気が高すぎると言って、大きな企業は、自家発電所を作っているのですが、それがどれだけあるのかをお見せします。





〇[127]岩上氏: 2005年ですね。なるほど、なるほど・・・。

〇[128]小出先生: この黄色い帯で、建てた分があるのですね、日本国内には。ではこの黄色い帯は何かというと、それぞれの発電所が、一年間全出力で動けば、これだけの電気ができますという。

〇[129]岩上氏: このグラフ上でだったらば、原子力は、3割占めるのですか?

〇[130]小出先生: いいえ、約2割しかない。

〇[131]岩上氏:  約2割ですね。

〇[132]小出先生: はい。水力発電も2割、原子力2割、それで6割が火力という位の比率なのです。

〇[133]岩上氏: 6割が火力。

〇[134]小出先生; です。その他にも自家発もあるのすけれども、自家発は、今は考慮しないでおきます。
では、実際に起こした電気はどれだけかというと、これだけなのです。







〇[135]岩上氏: はあはあ

〇[136]小出先生: この原子力の青い部分が、電力会社が起こしたこの青い部分全体の3割ですよ、と言っているわけです。それはある意味本当なのです。

〇[137]岩上氏: 実際の発電量で言っているのですね。

〇[138]小出先生: そうです。ある意味本当なのですけれど。ではこれが無いと困るかというと・・・






〇[139]小出先生:   別に何も困らない。

〇[140]岩上氏: ポテンシャル、全然あるのですね。

〇[141]小出先生: これを此処にやった。これを火力発電所で動かしたとしても、火力電所は、1年間に約70パーセントの稼働率しか取れない。今現在48パーセントですから、半分以上は、止めてあるということなのです、火力発電所というのは

〇[142]岩上氏: では、再稼動できる、はずですよね。

〇[143]小出先生: まあ、今回はですね、あの、東京電力も、東北電力も、火力発電所をたくさんやられてしまっていますので。

〇[144]岩上氏: 地震と津波の影響で?

〇[145]小出先生: そうです。ですから、火力発電所も失われてしまっているわけですから、今の状況は難しいと思いますけれども。でも、少なくても、これまで来た限りは原子力何も要らないという状態なのです。ただしですね、これを私が言うと、電気というのはそんな物ではないと。電気は貯めて置けないので、一番たくさん使う時にあわせて、発電所はやっぱりいるのだと、国や電力会社は言うのですね。では、本当かというと、こうなのです。





これは1930年から2010年近くまでの歴史を書いてあります。青いところが水力発電。黄色いところが火力。赤いところが原子力。その上に最近増えてきた、自家発が、だぁっーと乗っているのが分かっていただけると思います。

では1年のうちで、一番たくさんの電気を使うときに、どれだけ使うかというと、この黒丸と黒い線なのです。

〇[146]岩上氏:  そこなのですね。最大の。

〇[147]小出先生: はい、最大需要電力量。分かっていただけると思いますが、水力と火力で、足りてしまうのです。1990年代のはじめ頃にちょっと、高いところに食い込んでいるところがあるけれども。

〇[148]岩上氏: そこの一箇所だけですか?

〇[149]小出先生: あるけれども、要するにではこれは一体何なのだということですね。真夏の3日の午後の数時間という、とてつももない特殊な時に、これだけ使うというだけなのです。そんなことであれば、工場の生産調整をですね、大口電力というのはもともと、そういう契約電力というのがあって、超過するときには、止めろと、電力会社は言う権利も持っているわけですから、それを遣ればいいし、家庭がそれこそエアコンの設定温度をですね、変えればいいという、そんなので十分乗りきれるというだけのものなのです。こんな為に、原子力という危険を抱え込むというのは、実に馬鹿げたことだと、私は思う。

〇[150]岩上氏:  まあ、財界と言いますか、経済界、エコノミストという人であればあるほど、原発推進派に傾く傾向があるわけですけれども。経済性という意味で、その損失を考えたときの経済性という意味でも、本当に全く見合わないわけですね。しかもコストが掛かるという話ですね。






〇[151]小出先生: これまでは、その国がですね、例えば、通産省であるとか経産省が、原発は他の発電の方法に比べてやすい安いと言ってきたわけですね。それは、どういうことを遣ってきたかというと、彼らがモデルを立てて、要するに机上で計算してきたのです。それで彼らは、安いと言っていたわけですが、最近になって、立命館大学の大島堅一さん(◆Refer  「原子力発電は安い」は嘘。その理由は?)という方が、有価証券報告書という実際の電力会社の経営データを使って、どういう電源がどれだけ、お金が掛かってきたかということを計算して示してくれました。1970年から最近までの全体を通してのものですけれども、原子力、火力、水力、一般水力、揚水(◆Refer  揚水発電所) と並んでいますけれども。

〇[152]岩上氏:  揚水というのは何でしょう?

〇[153]小出先生: 揚水というのは・・・原子力発電所というのは、一度動かすと止められていのですね。ですから、ずっと一年間なら一年間動かし続けるわけです。でも電機を使わないという時間帯もあるのです。そういうときになると、原子力が止められない限りは余ってしまうという、事態になるときがある。そのときに、電気は貯めて置けないわけですから、その電気をどこかで使わなければならない、そのために揚水発電所というものが考えられました。

どういうことかというと、上の池と下の池を作っておいて、原子力発電所の電気が余ったときに、下の池からポンプで上の池に水を送る、そのための電気に使うと。そして、電気をたくさん使うときになったら、今度、上の池から下の池に水を落として発電するという、そういうシステムが揚水発電所というのです。でもこれをやる度に、ほぼ3割のエネルギーを損をするという、大変馬鹿げた発電方法なのですけれども、原子力を選択してしまう限りは、それをとらざるを得ないうことで、揚水発電所とういのが、もうたくさん今日本にはできているのです。でも元々馬鹿げた装置だし、できる限り使いたくないので、殆ど動いていないというのが、揚水発電所というものなのです。

それぞれの単価がどれだけかというと、揚水発電所はもともと動かないですから、単価にすると、もの凄く高いと。だから、これを除外したとすると、一般水力、これは揚水と一般水力を合わせたものですけれども、この馬鹿げた揚水を入れても、水力は一番安いし、火力は安いし、原子力というのは、とにかく一番高いと。で、この馬鹿げた揚水発電は実は原子力のためだと言っていて、それも、効果にいれるとすると、原子力はもっと高くなってしまうのです。

〇[154]岩上氏: もともと、何て言うのですが、経済性、生産性、全く見合わないと。

〇[155]小出先生: 無いのです。そうです。こんなものを、だから日本という国は、やってきたということなのです。

〇[156]岩上氏: 原子力は、ずっと発電し続けなければいけないから、どんどん排出していく、その実際の発電に使われないような時間帯もある、それを含めると三分の一しか使ってなくて、三分の二は捨てているという話しで、これは揚水の話とは全く別ですか?

〇[157]小出先生: いえいえ、全く別です。

〇[158]岩上氏: 原子力それ自体の無駄ですね。

〇[159]小出先生: 原子力というのは、ウラン核分裂エネルギーを使って水を沸騰させて、蒸気にして、その蒸気でタービンを回すという、所謂蒸気機関なのですけれども、その蒸気機関の根本的な宿命として、原子力発電というのは、三分の一しかエネルギーを使えないという、馬鹿げた装置なのです。

〇[160]岩上氏: 他の火力、水力というのは、そこまで無駄があるのですか?

〇[161]小出先生:  火力もですね、蒸気機関なのですけれども、原子力がタービンに送れる蒸気の温度は約270~280度くらいなのです。火力はもう500度近い蒸気をタービンに送れるようになっていますので、火力の熱効率は、もう既に50パーセントを超えている火力発電所もあります。

ですから、100万キロワットと言われている火力発電所があったとすると、電気にするのは100万キロワット、環境に捨てるのは100万キロワットとなんですね、熱効率が50パーセントとすると。

でも、原子力発電所の熱効率は、33パーセントで、100万キロワット発電をしようと思うと、200万キロワット分を海に捨てるわけですから、火力の倍を捨てるという、そういう馬鹿げた装置になっるわけです。

〇[162]岩上氏:  こういうことは、なぜまともに国民に知らされないのですか?(◆Refer wikileaks (2))

〇[163]小出先生:  日本の国と電力会社はとにかく原子力を遣りたかったからです。

〇[164]岩上氏:  その為にですね、膨大な広告費を掛けて電気連 (◆注釈:電気事業連合会) は、2千億ですか年間。

〇[165]小出先生:   私はお金のことはよく知りませんけれども、膨大な広告費を捨ててきたのだと思います。

〇[166]岩上氏:  マスメディアを買収してきた。

〇[167]小出先生: そうですね。はい。

〇[168]岩上氏: プルト君 (◆注釈:1993年に動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)が制作した広報用ビデオ プルトニウム物語 頼れる仲間プルト君 のキャラクター) などというような、プルトニウムを飲んでも大丈夫というような、でたらめ。本当に信じられないような事を含めてですね。この電気のことに関して言えば、あからさまな嘘がまかり通ってきたという事ですか?

〇[169]小出先生: はい。

〇[170]岩上氏: これは全部一時データがあるわけですね。

〇[171]小出先生: はい。勿論です。私は公開データしか持っていませんから、さっきの発電所の能力とかですね、全部政府のデータ、政府と電力会社のデータです。

〇[172]岩上氏:  もう、ほんとうに唖然とするしか無いわけですけれども。これだったらば、今直ぐに一部の危険なところを止めてもではなくて、根本的に原発を全部止めて、それで日本は現実に、今までの生活水準や産業の総支えをしたり、可能だということですね。

〇[173]小出先生:  もちろん可能です。ですから今見ていただいた通り、可能なわけです。ただし、細かいことを言うならば、色々調整をしなければいけないことがあります。私は先ほど日本全国の発電所の数を、能力というのを見ていただいたわけですけれども、日本というのは、非常に特殊な国で、50Hzと60Hzという、電気を使っているのですね。その間では、殆ど融通うが出来ないという状態になっていますので、個別にもう少し細かい議論をしなければいけないと思います。

ただし、私自身はもうそんな細かいことの議論は、もう、今は不要だと。とにかく、原子力という、これだけは、もう何としても、止めなければいけないと思っているのです。

未だに此処まできてですね、尚かつ、電気が欲しいから、原子力は止められないというような意見が、この国の中にあることに実は驚きを感じる。何としてでも、電気なんか足りようが足りまいと、原子力は、もう止めると云うところに踏み出すときだと、私は思います。

〇[174]岩上氏: 単価が高いために、日本の産業に大ダメージを与えているという話もありましたね。

〇[175]小出先生: 有ります。例えばですね、これは、世界各国の電気代、ちょっと古いですけれども、青いところが家庭用、黄色いところが産業用ですけれども、日本は家庭用で言えば圧倒的に高い電気を私達消費者は買わされているわけですし、私達消費者だけでなく産業用の電気も、今この黄色いほうですけれども、世界の最高レベルの高い電気を産業も買わされているのですね。






〇[176]岩上氏: これは産業にも陰りをもたらしますよね。工場立地を日本国内に置いおけば不利益をこうむる。

〇[177]小出先生: そうです。

〇[178]岩上氏: だから産業の空洞化を招きかねないということですね。

〇[179]小出先生: そうです。電気代が高いということは、電気をたくさん使う産業は、高いお金を払わなければならないということです。では、一番どういう産業かというと、アルミ製錬です。アルミというのは、電気の缶詰と言われるくらい、製錬に電気がいるという特別な産業なのですね。ではそのアルミ製錬がどうなってきたかというと、こういう歴史を辿った。この赤いのが、日本で使っている総需要量ですし、この青いのが日本で製錬した量です。





〇[180]岩上氏: 総需要とはアルミの需要ですね。アルミの需要は非常に高くなっている。

〇[181]小出先生: そうです。ずっと高くなってきたのです。

〇[182]岩上氏: 日本もすごく生産していたのですね、高度成長期に。

〇[183]小出先生: 1970年くらいまでは、殆ど日本国内の需要量は、自分で製錬していたのです。ボーキサイトという鉱石を買ってきて日本の中で製錬していたのです。ところが、日本の電気代はさっき見ていただいたように、国際的にももの凄く高い水準になってしまったが為に、日本のアルミ製錬は全て潰れてしまった。全てというとちょっと語弊があって、日本国内で一箇所だけ、まだアルミ製錬が生き延びている工場があります。それは、日本軽金属蒲原工場というのですけれども、静岡県の富士川の河口にあります。その工場が何で生き延びていられるかというと、自家水力発電所を持っているからです。

〇[184]岩上氏: 原発を含んだ日本の非常に高い割高な電気料金をベースにしていると、産業も成り立たなくなる。

〇[185]小出先生: そうです。そういうところまで追い込まれてきたので、電力自由化という事で、もう高い電気はもう作りだせない。だから、これからは原子力はできないというところまで、もう、経済原則として、そこまで来ていたのです。

〇[186]岩上氏: ただこれを多くの、例えば、新自由主義者なら、「いや、海外に持っていけばいいんじゃない」ということで書いていまして、その結果として、日本の雇用の空洞化や需要減少、或いは国民の生活の低レベル化ということにも配慮してこなかったとわけですね。原発は、我われの生活自体を苦しめてきたのですね。

〇[187]小出先生: こういう見方からしてもそうですね。私はもっと根本的なところで思いますけれども。

〇[188]岩上氏: 生命を棄損される、生命を見落とされるという問題に今直面しているわけですけれども。いや、それと引き換えに生活が豊かにしてきたのだからという、論理が対立しているように見えたのですけれども、それが間違いだと、根本的に間違いだと。

〇[189]小出先生: あらゆる意味で、原子力は最悪の選択だと、私は思います。

〇[190]岩上氏: ありがとうございました。これを聞いて尚も存続をすべきだという人がいたら、どういう理由で言ってらっしゃるのか、問いたださなければいけないですね。今日は、全国で反原発・脱原発のデモが同時多発して、国外でも、国内でも10箇所以上行われています。殆ど御上の言いなりになってきて、自分で自ら声を上げるということがなかった日本人もさすがに、やっと声を上げ始めている。
異常なな国ではなくなりつつあるのかなと思います。

〇[191]小出先生: そう期待したいのですけど。ただ未だにここまで酷いことになっても、停電は嫌だ。電気が欲しいからやっぱり原子力発電は必要だという意見の方が、多分この国には、かなりの数の方が居るのではないかと、私は思いますし、それを思うと、大変悲しいし、かなり絶望的な気分にもなります。何とかそんなことではないということを、皆さんに伝えて、即刻原子力だけは止めるというところに繋げたいと考えています。

〇[192]岩上氏: 本当に、「電気はまかなえるのだと」この根本的なことを、理解しないと、お話にならないなと思います。これ、パワポとか一次資料のデータを後で、いただけますでしょうか。

〇[193]小出先生: はい、勿論差し上げます。ええと、電気のさっきの需要の話は、ファイルで差し上げたと思うけれども、岩上さんには。あれから作ったデータです。勿論差し上げます。どんなものでも。

〇[194]岩上氏: これまた再度録画をアップしたりして、できるだけ多くの人に、見られるようにしたいのです。

〇[195]小出先生: 結構です。

〇[196]岩上氏: この動画には、そういうパワポを挟んで見せるようなこともできるのです。間違いの無いデータに基づいて話しているのだということを、多くの人に理解してもらいたいと思います。

〇[197]小出先生: 分かりました。

〇[198]岩上氏: ほんとに絶望的な状況は続くのだけれど、でも破局ではないと、ギリギリの状態が続くと。

〇[199]小出先生: でもその破局は避けたいのですね。でも破局を避けるためには、福島の現場で今現在も作業してくれている人達が、これからも多大な被曝をしながら、作業を続けなければいけないということになっているわけです。それを思うと、大変私は気が重いけれども、でも、破局を避けるためには、それしかない、というところまで来ていますので、遣り続けて欲しいと願っています。

〇[200]岩上氏: ありがとうございました。よろしく願いします。

〇[201]小出先生: こちらこそ。
— Done —

◆話の中で取り上げられていた小出先生取り纏めによるデータの外部リンク集です。
いづれも小出先生のホームページで一般公開されています。
原発の発電コスト
アルミ精錬 1935-1997年ベース
日本の発電量と実績 2000年ベース
最大需要電力量
日本におけるエネルギー総供給の変遷 1880-2010年ベース
チェルノブイリ事故によるセシウム137による汚染地図
原子力発電所(100万kW)で大事故が起こった場合の被害予測
原子炉内に蓄積する放射能の量

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  1. maronhappy
    4月 28, 2011 12:42 PM

    Ustreamを拝聴し、コメントからURLに辿り着いて伺いました。
    リライト,お疲れ様でした!
    知人はパソコンが使えないので、これを読んでもらいたいです。
    ありがとうございました♪

  2. 通りすがり
    5月 2, 2011 10:52 AM

    書き起こしご苦労さまです。
    大変骨の折れる作業だと思いますが、
    こういう地道な努力で正しい情報を多くの人に伝えることができると思います。

    さて、「クロム38=塩素38」という記述がありますが、
    これは化学の言葉で塩化物(chloride)や塩素(chlorine)をクロルというので、
    そのことではないかと思います。
    クロムの放射性同位元素はクロム50とクロム51しかありませんので、
    クロムということはないはずです。

  3. 5月 10, 2011 6:31 PM

    福島原発水素発生源は原子炉内と原子炉建屋とに区別されるべきです。前者は高温900度以上の燃料棒からで外気にベントされるが、後者は低温500度位の使用済み燃料棒からで建屋内にこもったのが爆発。

    原子炉建屋内の水素発生源の仮設:使用済み燃料プールの燃料棒(チャンネルを含む)表面に海水が濃縮、析出、加熱され低温(例えば500℃)位でジルコニウム化合物が生成され、それがジルコニウム燃焼反応を起こした。使用済み燃料プールの燃料棒が900度になるとは直感的に考え難いのです。 

    ”kazutsumi.com 福島原発事故のなぞ”で検索して下さい。

    内海和男

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